日本茶の可能性を追求する【万】(よろず)で、究極の一煎に向き合うひととき
福岡・赤坂の街に入り組んだ路地に、独特の空気感をまとった静かな佇まい。ふとすると通り過ぎてしまいそうに住宅地の景色に溶け込んでいるのが、茶と酒のお店【万(よろず)】だ。
外観から内装にいたるまで、統一された美しさへのこだわりがうかがえる。銅製の炉を中心にぐるりと囲まれたカウンター席。特別なお茶やお酒を愉しむためだけに造られた贅沢な空間は、社会の喧騒を忘れさせてくれる。
最先端の日本茶文化を体感できる万(よろず)。店主は徳淵卓(とくぶちすぐる)氏だ。緒方慎一郎氏からなる日本茶の流儀を受け継ぎ、「茶と酒 果子とあて」という新しいスタイルを確立した。万では茶品評会に出品された最高級の茶葉をはじめ、福岡を代表する八女茶(星野村)など、九州はもとより日本各地の選りすぐりのお茶が一同に揃う。徳淵氏の丁寧な所作により煎れられたお茶は、茶葉の旨味が最大限に引き出され、まさに絶品の一言に尽きるだろう。
「何よりもまず相手を出迎えるとき、もてなしの心を伝えるのはお茶。日本人の心を表す日本茶の文化を継承し、広めていきたい」と語る徳淵氏。人に煎れてもらうことで、お茶の味わいは格段に変わるということを体感してみてほしい。
また二階には、「お粥」を提供する万分室がある。一日の〆や消化にやさしい食事としておすすめしたい。