鹿児島 天文館
Creative Chinese Restaurant Saburo-Aoki〔中華料理〕
夜最もにぎわいを見せる天文館の文化通りを抜け、飲食店が軒を連ねるビルの奥、食通たちが足繁く通う噂の中国料理店「Creative Chinese Restaurant Saburo-Aoki」へ。表にまで漂って来る香辛料の香りに誘われ扉を開ければ、目に飛び込んでくるのはカウンター越しに勢いよく中華鍋を振るうオーナーシェフ・青木三郎(あおきさぶろう)氏の姿。23歳の時に単身中国へ渡り、100人を超える料理人たちと共に修行を重ね培った珠玉の中国料理が次々と作り出されていく。そのライブ感は容赦なく五感を刺激する。
店名から想像すると、王道な中国料理ではなく、前衛的な創作中華のイメージを抱くかもしれない。しかし、青木シェフから出た言葉は「基本に忠実に、中国料理の枠をはみ出さない真の中国料理を目指しています」と意外なものだった。そこには中国料理に向ける真摯な姿勢が窺える。調味料から全て手作りし、素材を吟味し、正面から美味しいと思える中国料理を追求しているのだ。
まず味わいたいのは、フカヒレの姿煮(110g1万円税別、75g7500円税別)。気仙沼産の吉切鮫の尾びれを使用した極上の逸品で、舌の上でときほぐれていくフカヒレを追うように豊かな風味が広がる。その他、霧島ひなもりポークのトロトロ煮込み(2400円税別)やぷりぷり大海老のマンゴーマヨネーズ和え(2500円税別)など、多彩なメニューを用意している。
女性客を中心に、30代から70代まで客層は幅広い。生前の九重親方(元横綱千代の富士)や鹿児島を代表する建築家・中原祐二氏など、著名人にも愛されている。接待やお祝いの席などに利用されることも多く、特別な夜を彩るにふさわしい店と言える。これからの鹿児島の中国料理界を担う存在になる日もそう遠くないのではないだろうか。