鹿児島市立美術館は、昭和29年に歴史関係の資料を含めた鹿児島関連作家の美術作品を収集・展示する施設として誕生した、全国的にも古い歴史のある公立美術館です。その後、老朽化して手狭になった旧館から、昭和60年に現在の美術館へと新装開館しました。このたび、新装開館から30周年を記念して、所蔵品の中から選りすぐりの名品を、通常の所蔵品展よりも広いスペースを使って一堂にご紹介します。
30年の歩みを振り返った際にその成果としてまず挙げられるのは、モネ、ピカソ、ダリ、カンディンスキー、ロダン、ムーアら世界的な大家の作品を、鹿児島でいつでも鑑賞できる環境が整ったことでしょう。地域に根ざしたより本格的な美術館を目指して、郷土関連作家の作品とともに印象派以降の西洋美術の収集に積極的に取り組むことで、印象派のモネやシスレーから戦後アメリカの抽象画家ステラまで、近現代の西洋美術の流れを概観できるコレクションがほぼ揃いつつあります。
鹿児島は、黒田清輝や藤島武二、和田英作など近代洋画の黎明期に活躍した重要作家を輩出した土地でもありますが、旧館時代から継続して収集してきた近代洋画家の作品と、彼らに影響を与えた西洋近現代の絵画をあわせてご覧いただくことで、より奥行のある美術の世界をお楽しみいただけます。また、他にも木村探元ら薩摩の絵師による日本画、伝統工芸の薩摩焼や薩摩切子、彫刻、書などを含め、現在の所蔵作品数は4300点を超えます。
本展は、通常の所蔵品展と同じ観覧料で、いつもよりたくさんの市美のお宝と出会えるまたとない機会です。バラエティーに富んだ所蔵作品の数々を、ぜひお楽しみください。
会期:2016年1月5日(火曜日)〜 2016年2月7日(日曜日)
※休館日 1月12日、18日、25日、2月1日